SIDSの原因の1つが日本ではミルク育児と言われる理由
日本ではなぜ、人口ミルクがSIDSの危険因子になってしまっているのか
厚生労働省はSIDS予防の1つとして、”なるべく母乳育児をするように”と言っていて、
なんと、母子手帳にもしっかり記載されてしまっています。
ではなぜ厚生労働省は粉ミルクをSIDSの危険因子にしているのか・・・
それは、SIDSを発症した乳幼児が、母乳よりミルクを飲んでいた子が多いという研究結果が出ているからだそうです。
しかし、米国では、「仰向け寝運動」や、「着せすぎに注意キャンペーン」はあっても、人口ミルクに関しては全く触れていません。
つまりアメリカでは人口ミルクはSIDSの危険因子にはなっていないのです。
アメリカのミルクと日本のミルクの違い
日本だけが、「粉ミルクはSIDSになる危険性が高まる」と言われている理由は
粉ミルクの作り方、乳児へのミルクの与え方の違いにありました。
《日本の粉ミルクの調乳の仕方》
・哺乳瓶に粉ミルク又は固形ミルクを入れ、70℃以上に沸かしたお湯を入れ混ぜる
・粉が溶けたら直ちに、流水をあてるか、冷水または氷水の入った容器に入れて授乳できる温度まで冷やす
・手の甲または手首等に垂らし、冷たさ・温かさをほぼ感じない、体温に近い温度か確認後、授乳する
《アメリカの粉ミルクの調乳方法》
・哺乳瓶に水を入れ、その中に粉ミルクを入れよく振る
・粉が溶け完全に混ざったら、そのまま授乳 又は、少し温めてから授乳する。
日本の調乳方法しか知らないと、アメリカの調乳方法は正直ビックリしますよね。
日本の粉ミルクのほとんどは殺菌が必要なため、70℃以上のお湯で溶かして粉ミルクを殺菌する必要があり、水ではなかなか溶けないようになっていると思います。
しかし、アメリカの粉ミルクは殺菌されていて、また、水で溶けるように作られています。そして驚きなのが、そのまま水と溶かしただけの状態ですぐ授乳していること。
アメリカと日本の調乳の仕方の違いはわかりましたが、
お湯でしっかり殺菌してから冷まして飲ませている日本のほうが安全そうにみえてしまいますが、なぜ、日本だけSIDSのリスクが高まるのでしょうか?
それは、アメリカは常温で飲ませているのに対し、
日本は熱々のミルクを体温に近い温度になるまで冷ます必要があります。
いくら赤ちゃんがギャン泣きしていたとしても、熱々のまま飲ませるわけにはいきませんから、焦りながら急いで冷まそうとします。
ある程度冷ましたミルクを手の甲などに垂らし、温度の確認をしますが、まだ少し温かいけどこのくらいならやけどの心配はなさそうだからと、体温より少し高めでミルクを与え、飲み終わるとそのまますやすやと眠ってしまうこともあると思います。
それが、寒い冬の時期だったりすると、風邪を引かないようにと靴下をはかせていたり、厚手の衣服にさらにあたたかいお布団をかぶせたりして、
ミルクで必要以上に体温が高温になっているところに、さらに着せすぎが重なり、
うつ熱(衣服内熱中症)を引きおこしてしまい、それが悪化してSIDSを発症してしまった・・・という可能性が高いという研究結果が発表されています。
なので、最近日本でも、常温のまま飲ませられる液体ミルクが発売されましたが、
それがもっと普及してきて、常温の液体ミルクが当たり前になってきたら、
もしかすると、母子手帳の記載内容も、母乳育児うんぬんではなく、
「着せすぎに注意しましょう。」に変わるかもしれませんね。